ジュエリー&ハイジュエリー メゾン メシカは、パリの象徴である老舗百貨店の7階テラスに、フランス流の「アール・ド・ヴィーヴル(暮らしの芸術)」と、人と人との心温まる交流を叶えるカフェ・メシカをオープンしました。メニューを手がけたのは、メシカの創業者でアーティスティックディレクターのヴァレリー・メシカとフランスで活躍するコロンビア出身のシェフ、フアン・アルベラエス。美しいものと美食をこよなく愛するふたりのコラボレーションが実現しました。
This is M
まずはヴァレリーに質問です。今回のコラボレーションにフアン・アルベラエスを起用した理由を教えてください。彼の料理のどのようなところに惹かれたのでしょうか?
ヴァレリー・メシカ (VM) : シェフのフアンは、私の長年の友人です。そのため、カフェ・メシカをオープンするという計画が現実味を帯びはじめた時、すぐにフアンのことが頭に浮かびました。私は大の食いしん坊なので、フアンのように有名なシェフ、それも独自のスタイルをもち、五感を呼び覚ますことができるシェフと一緒にアール・ド・ヴィーヴルの世界に足を踏み入れたいと思ったのです。
フアンの料理は、とにかく活気とモダニティにあふれていて、とてもカラフルです。まさに私が思い描くカフェ・メシカの体験にぴったりだと思いました。カフェ・メシカは、高級レストランというよりは、誰もが気軽に食事と楽しい時間を分かち合える空間です。フアンはメニュー開発の際もこうしたコンセプトを大切にし、シンプルだけど誰もが喜ぶような料理を提案してくれました。フアンと私は、最高峰を追求しつつも、決して手が届かないようなものにはしないという、同じ価値観を共有していると思います。
では、フアンに伺います。カフェ・メシカという斬新なプロジェクトで特に気に入っていることは何ですか?
フアン・アルベラエス(JA):ヴァレリーと一緒に仕事をすることはとても刺激なことです。私にとってまったく新しい体験でしたが、ヴァレリーがイメージする美食体験を提案するために自分のノウハウと創造性を駆使しました。何よりもまず、カフェ・メシカはメシカというメゾンの精神を体現すると同時に、ヴァレリーと彼女の家族の歴史を綴るものでなければいけません。家族の歴史は、このプロジェクトの核を担う要素ですから。そのためには、まず私自身が一歩下がり、自分のインスピレーションやルーツから一度遠ざかりました。挑戦ではありましたが、とにかく楽しかったです。ヴァレリーと夫のジャン=バティストとは長年の友人ですから、より楽しく感じられたのだと思います。このプロジェクトに一緒に取り組むことは、まさに必然だったのです。
カフェ・メシカを通じて、メシカ史上初の美食体験を創出しようと思った理由は?
VM : カフェ・メシカは、メシカのジュエリーを愛用し、メゾンを応援してくださる顧客の方々とさらに深い関係を築く素晴らしい機会です。料理という表現を通じて、私自身の日常生活や習慣、インスピレーション源などを紹介できると思っています。家族と食卓を囲む時間は、私にとってかけがえのないひと時です。私たち家族は、強い絆で結ばれていますから。料理は、私たちを結びつけてくれるのです。カフェ・メシカを通して、私が大切にしている価値観をお客様と共有し、私らしい本物の体験を提案したいという想いを持っています。
This is M
メニュー開発のプロセスについて詳しく教えてください。開発にあたり、何か具体的なイメージはあったのでしょうか?
VM : フアンに、子供の頃によく食べた料理や、私が好きな料理から得たインスピレーション、そして食べたい料理をリストにして送りました。それをもとにフアンが料理人としての腕を発揮し、オリジナリティあふれるメニュー、それも上質な食材を使った私のインスピレーション通りのメニューを考案してくれました。
JA : ヴァレリーのリストのほかにも、自分の料理のスタイルと個性を落とし込んだメニューも提案しました。感情豊かでとてもカラフルなだけでなく、どこまでもダイナミックでボリューム感たっぷりのメニューです。そこにヴァレリーの視点とビジョンを落とし込みました。私たちは話し合いながらメニューの一部をブラッシュアップしたり、よりシンプルにしたりしました。これは料理人として素晴らしい訓練にもなりました。自分の料理から無駄なものを削ぎ落とし、シンプルさによってパワフルなメニューを実現できたのですから。コラボレーションの素晴らしさは、往々にしてこうしたところにあると思います。普段とは違う方法で取り組むことで、自分を進化させられるのです。
カフェ・メシカには、象徴となるような料理はありますか?
JA : はい、あります。カフェ・メシカには、オリジナリティあふれる料理がたくさんありますが、たとえば、ヴァレリーの祖母のパスタからヒントを得た一品がそうです。実際のレシピを土台にしながら、少しモダンにアレンジしました。このほかにも、ジャン=バティストと開発したハンバーガーもあります。ジャン=バティストと一緒に、彼の理想のオリジナルバーガーを作りました。ヴァレリーの好み通りに仕上げたシーザーサラダもあります。カフェ・メシカは、ヴァレリー・メシカの世界観に没入できる空間なのです。
VM : メニューからは、フアンのDNAもしっかり感じられます。それが本当に素晴らしいのです!料理から彼の実力が伝わってきます。フアンは、料理人としての眼差しを通じて、私たちが思い描いた通りのものを提案してくれました。ひとつひとつの料理から彼の「シグネチャー」を感じることができます。コントラストに満ちていながらも、フレッシュさとスパイスが見事に調和した料理、それがフアンの料理なのです。